![]() 測定器の詳細 はこちらです |
経絡ここでは、『経絡』がどのようなものか、実験、開発を通じて、このサイトの運営者がどのように解釈しているかを説明しています。![]() 最初に大まかな説明をすれば、 『経絡は、間質液のチャンネルである。』 ということになるでしょう。 経絡の測定のページや、虚実とは?のページでも説明したとおり、真皮層の水分量や電解質の過不足と、虚実という言葉で説明される症状には、強い関わりがあるようです。 ごく浅い、真皮程度の深さに刺しただけの鍼(切皮)で、治療効果を得られることからも、真皮層と経絡は深い関わりがあると考えられます。 真皮層は、表皮(角質を含む)の10倍程度の厚みを持ち、70%ほども水分を含んでいます。 AMICAは、水分が多い=電気が流れやすい真皮層の特性を利用し、電流を用いてその特性を調べています。 問題となるのは、上記の(真皮層の)間質液が、どのような規則性で変化しているか=どうして経絡と呼ばれる道筋ができるのか?という点です。 『経絡の中を気が流れている』という表現から、間質液の流れる道筋が、あたかも川のように、物質的につながっている、と直感的に考える方もいるでしょう。 しかし、間質液の量や質は、自律神経(と内臓求心性線維)で調整されているはずなので、同じ末梢神経の枝に沿って同様の変化が現れる=信号でつながっていることも考えられます。 さらに、自律神経の中枢は視床下部にあり、そこでさまざまな部位の情報が絡み合う(感情やストレスの影響も受けます)ので、身体のさまざまな部位の情報が絡み合った結果、全く関係がないと思われるような箇所の間質液が、同様に変化する=信号の混線でつながっている可能性もあります。 さらに考えるべき点があります。 受精卵が人間の体へと発生していく段階では、骨や肉ができた後に末梢の神経線維が(自律神経の線維とともに)伸びてくるのですが、では、末梢の神経が伸びてくる前は、何が間質液の管理をしているのでしょうか? 間質液は当初、あたかも浸透圧だけで自らをコントロールしているかのような印象も受けますが、その原始的なコントロールは、自律神経が伸びてきたあと消えてしまうのでしょうか?それとも、ひっそりと存続しているのでしょうか? 実は、これらの疑問に解答は得られていません。 私たち(AMICAの開発者やユーザー)が得ている知識は、指先にあるツボ(井穴)で測った間質液のようすから、それぞれの指先と繋がっているとされる経絡上の、反応や症状のようすがよく推測できる、という現象だけです。 客観的な測定値として、経絡(の虚実)を理解する手がかりとして、間質液の状態が有効だろうということは分かっていますが、間質液の変化を起こすメカニズムまでは分かっていません。 実際には、自律神経や内臓求心性線維が、どのようにして間質液(の量や質)を調整しているかは、良くは分かっていないようです。 有名なトリガーポイントについて、その研究の初期に、麻酔注射による血管拡張ではなく、硬結部への生理食塩水の注射だけでも、症状が改善されたという報告があります。 間質液の変化が、硬結や痛みと強く関わっていることに間違いはないのですが、血管の働きが不可欠というわけではないとも考えられるでしょう。 実は、浸透圧によって、毛細血管の動脈部分から水分が間質液に出て、静脈部分で再吸収されるという水分代謝の説明も、正確には『スターリングの仮説』と呼ばれるもので、証明されたものではありません。 間質液の調節については、まだまだ検証が必要なのです。 しかし、間質液の量や電気的な特性が、反応や症状を推測する…出現パターンやその強弱を推測するために役立つなら、現象論としてまとめられるはずです。 現象論としてまとめられれば、古来から蓄積され、伝承されていた知識…反応や症状の伝播経路の経験則としての経絡を、効率よく活用できるのではないでしょうか? 経験則だとは分かっていても、その運用のための『虚実』の判断ができない…何種類もある『虚実』の概念を、どのように評価したらよいか分からない…評価するための定量的な指標がない…。 経絡を実際の臨床に役立てる上での最大の問題は、この『虚実』の解釈が不明瞭という点ではないでしょうか? 私たちは、虚実の概念を、間質液の量の過不足、電解質の過不足、さらに緊張(こわばり)の三つに分けて説明し、経絡という経験則を臨床で活用できるように、提案しています。 (緊張(こわばり)については、緊張の治療のページをご覧ください。) また、このように現象論をまとめられれば、最終的には、間質液の代謝や調整が、どのような機序でなされているかの、研究の一助になるとも考えています。 間質液の調整は、上に挙げた推測の中の、どの働きでなされているのか? そのうちの一つなのか、複数なのか、全てなのか? 病的な状態に陥るのは、どの働きが重要なファクターなのか? 安易に肯定や否定をせず、決め付けの先入観も持たず、現象を観察していくことが大事だと思っています。 冒頭部分で、 『経絡は、間質液のチャンネルである。』 と書きました。 しかし、実践的な治療も考えると、次のような広がりを持っていると思います。 『経絡現象は、間質液のチャンネルと、 間質液の調整を行う神経などのチャンネルの、全体から起こる。』 というのも、実際の治療では、間質液の量や質が特異的に変化している場合、経絡に沿って治療を行うのですが、その治療方法や結果が、神経や血管に関わると思われることも多いからです。 (治療法の解説のページを参照してください。) (もちろん、緊張の緩和や麻痺の治療など、鍼灸治療には直接神経に働きかけていると考えるべき手法もあります。ここでは、あくまで『経絡(現象)とは?』という意味合いで、上のようにまとめてみました。) 注釈1 自律神経(遠心路)に対する求心性神経線維は、内臓求心性線維と呼ばれたり、自律神経求心路と呼ばれたり、書籍によって解釈が分かれています。 この文章は、鍼灸師の先生が多く読まれるでしょうから、東洋療法学校協会が編集した教科書に従い、内臓求心性線維と呼んでいます。しかし、この線維の働きについて、多くを語っている書籍は少なく、たいていは分類についてだけを語り、詳細は記述していません。 注釈2 現代医学でも分かっていない、新しい医学だ、などと言う気はありません。 問題点が、現象そのものの再現性・客観性=測定手段の信頼性なのか、それとも、現象を引き起こしている背景=機序の説明なのか、をより分けているのです。 どこまでは理詰めで説明が可能で、どこからが説明が不可能かを、より分けているとも言えるでしょう。 測定方法の再現性・客観性が不明瞭なことや、説明自体が不明瞭なことを、現代医学では証明できていないが、新しい医学だから正しいのだ!、と強弁しているわけではありません。 参考文献 『解剖学アトラスV 神経』 文光堂 『人体の正常構造と機能 \神経系(2)』 日本医事新報社 『ラーセン 最新人体発生学 大2版』 西村書店 『フィッツジェラルド 人体発生学』 西村書店 『生理学』 医歯薬出版株式会社 東洋療法学校協会 編 経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」 |
|