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全身の鍼灸治療
全身の虚実に対する鍼灸の治療法を説明しています。
全身の虚実
AMICADは全身の虚実傾向やバランスも表示しています。
経絡の虚実では特色が見られないものの、上下バランスなどの全身的な虚実では特徴的なデータを散見します。
こうした例では、全身的に補う鍼灸治療や、全身的なバランスを考慮した鍼灸治療も必要でしょう。
多くの治療家は、冷えのぼせなどの全身症状を意識していても、経絡の虚実との比較については、判断基準を持っていないように感じています。
全く異なった事象なので、本来なら比較は難しいと思うのですが、定量的な測定ができれば比較検討も可能になると思います。
全身の虚実のパターン(1)
右図は、(1)全身では虚(虚実2)、(2)上半身は熱傾向(虚実3)、(3)下半身は冷え傾向(虚実3)、という、「虚証+冷えのぼせ」の例です。
このように全身の虚実で強い傾向を示している場合は、各経絡の虚実の調整よりも、全身の治療を行ったほうが、治療効果を得やすいようです。
下半身の冷えが強いので、三陰交など足全体を温める経穴への温灸が考えられます。
同様に、上半身ののぼせが強いので、頭鍼などのぼせへの鍼灸治療も考えられます。
また、全身の虚が強い場合、消化吸収力の低下(脾虚)や腎虚(腎陽虚で脾(陽を温められない)といった問題を散見します。
このようなデータでは、疲労感とのぼせによる煩悶感の訴えが強いことが多く、全身の虚実傾向が把握できないと、主訴を理解できないように思えます。
全身の虚実のパターン(2)
冷えのぼせが甚だしい場合、複数の虚実(右図では虚実2と虚実3)で、冷えのぼせのパターン=上実下虚を示すようです。
VDT(Visual Display Terminals)作業が続き、眼精疲労など頭部の緊張・疲労が蓄積している人に、こうしたデータがよくみられる印象があります。
漢方ではのぼせの基本処方が数種類あり、使い分けが困難です。
しかし鍼灸治療であれば、下肢の代表穴(三陰交など)に温灸を施しながら、頭部に置鍼といった治療法で、多くの上実下虚に対応できるようです。
全身の虚実のパターン(3)
もちろん、こうした全身の虚実傾向以外に、四肢の一つで特徴的に虚実を示す場合があります。
胸郭出口症候群のように、特定の四肢の血行不良によって特徴的なデータとなる場合が、典型例です。
また、下肢の片方が極端な虚実を示す場合、反対側の足に体重が偏り、姿勢が極端な左右差を示す場合が多いようです。
こうした場合、データを見せることで本人も偏りを意識し、姿勢改善の動機づけになるようです。
全身の虚実のパターン(4)
上半身が虚している場合もみられます。
上半身の虚が甚だしい場合は、肺経や心経が虚となっていることが多く、呼吸が浅く疲れやすい人が多いようです。
また、呼吸が浅い人には、腎も虚していて、いわゆる「腎不納気」と言われるような状態の患者さんもいます。
下半身の虚の場合よりも、精神的に沈んだ、いわゆるうつ症状の傾向が多くみられます。
このような場合、肩甲間部が冷えて平坦になっている場合が多く、肩甲間部を温めて良い結果を得られる例が多いようです。
全身の鍼灸治療
全身の傾向が顕著な場合、特に上下のバランスが大きく崩れている場合は、その改善を意識した鍼灸治療が効果的なようです。
のぼせ症状の場合、頭部への鍼だけでなく、下肢への温熱刺激も効果的なようです。
こうした発想は、「悪いところに刺せば治るだろう」という短絡的な考えからは出てこないと思います。
中国の古典の中でも、古い(素問の)時代には、経脈を血脈と表現し、頭・手・足の動脈の拍動を比較する三部九候診が用いられました。
このことからも、最も原始的な鍼灸の診断(治療)方法として、身体全体の上下バランスが着目されていたことは容易に想像できます。
虚実の概念を、間質液≒末梢の代謝から解釈し、詳細に把握することができれば、より基本的な治療法を併用することも可能になると思います。
鍼灸院では、よく「局所治療3000円、全身治療5000円」といった看板を見かけます。
しかし、患者さんの多くは鍼灸治療の特性=経絡を用いた治療や、左右差を正す治療(巨刺)を知らないので、鍼灸における全身治療の必要性を納得してもらえない場合も多いでしょう。
こうした患者さんでも、データとともに全身の虚実傾向を説明すれば、鍼灸で全身のバランスを是正する必要性をアピールでき、鍼灸治療全体の理解につながると考えています。
経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」
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