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緊張の治療
鍼灸治療の使い分け
■ 緊張の測定
AMICAは、交感神経=皮脂腺反射(GSR:Galvanic Skin Response)と同様のデータも測定しています。
この情報は、一般的には良導絡の名前で浸透しています。
皮脂分泌が盛んな場合、末梢神経の走行に沿った、筋緊張と関わりが強いようです。
■ こりと緊張
こっている箇所と、緊張している箇所は異なります。
このことを、実際の患者さんの症状とデータを照し合わせながらお話しすると、ベテランの先生方は納得してくださることが多いのです。
こっている箇所は、押すとグリグリするような痛みがあります。
しかし、緊張している箇所は、あまり痛みの自覚がないように思えます。
痛みはあまり自覚していないのですが、精神的な緊張とともに震えたり、姿勢の偏りを引き起こしたりするので、別な症状で自覚していることが多いようです。
緊張が現れると、こりも現れやすいと思います。
しかし、緊張が続いた結果、新陳代謝が低下して、虚傾向(真皮層の間質液が不足したり、イオン濃度が不足する)になってしまう例も散見します。
緊張とこりは同じではなく、異なる現象ですが、同時に起こる場合も多い、といいうことになります。
データでいうと、皮脂分泌が過剰になっている箇所を、緊張していると予測しています。
また、真皮層でイオン濃度が過剰になっている箇所を、こっていると予想しています。
■ 緊張を皮脂分泌で判断する
一般に、交感神経が緊張していると、皮脂分泌が亢進し、皮膚の電気抵抗が下がるといわれています(GSR、ウソ発見器、良導絡)。
交感神経の枝は、皮脂腺に入る繊維、汗腺に入る繊維、皮膚毛細血管に入る繊維、骨格筋の血管に入る繊維、と枝分かれするので、皮脂分泌だけで交感神経全体の緊張をみることはできないと思うのですが、一般的には交感神経の緊張は皮脂分泌で測定されます(GSR、ウソ発見器)。
指先で皮脂分泌を測定すると、デルマトーム(皮膚分節)に従った緊張具合が分かるようです。
例えば、足の親指(第一指)は、デルマトームでいえば、腰椎の4、5番辺りから出てくる神経の枝が支配しています。
デルマトームについては、Keegan&Garrett 1948、P.J.Vinken 1933、Havmaker
& Woodhall 1956、Hansen & Schliack 1962、など諸説があり、足の親指は腰椎の4番、もしくは5番の支配として、諸説で分かれています。
また、このことは、肝経の井穴である大敦(だいとん)を、親指の爪の内側にとるか、真ん中にとるか、二説あることと符合して面白いと感じています。
足の親指で強い緊張=皮脂分泌過剰がみられる場合、一般に坐骨神経痛と呼ばれる症状が見られることが多いようです。面白いのは、測定データから大腸経に冷えなどが予測され、大腸兪(腰椎4、5番の間の高さで、外方1寸5分)
に虚傾向が見られる人に、足の親指の緊張が散見されることです。
大切なことは、皮脂分泌から緊張が予想できるし、次に述べるように治療方針を立てる参考情報にもなりますが、一般にいわれる虚実(冷えやイオンの過剰など)とは異なる情報だと考えられることです。
■ 緊張と末梢の鍼
緊張が強い場合、末梢(井穴やケイ穴など)への皮内鍼(円皮鍼)が効果的なようです。
末梢神経に沿って、交感神経の枝も伸びてきます。この枝の末梢で鍼刺激をすると、弱刺激でも効果的に緊張を緩和できるようです。
(ここでご紹介する治療法は、松韻堂鍼灸院 滝上晴祥先生に臨床で追試験をしていただき、治療効果を検証していただいています。)
有名な良導絡は、「原穴で皮脂分泌の過剰を測定し、皮脂分泌が過剰な経絡の四肢末梢に鍼治療を行った」とも翻訳できます。
過去に良導絡を用いた先生の多くが、「効く時はシャープに効くが、効かないこともあって、規則性が分からなかった」と話していました。これは、上に挙げたように、良導絡は緊張に対しての治療としては効果的だが、緊張だけが鍼灸の治療対象(適応)ではない、ということを示していると思います。
■ 弱刺激による治療
最近では、セイリン株式会社からパイオネックスという扱いやすく痛みも少ない円皮鍼が販売されているので、井穴やケイ穴など末梢への円皮鍼治療も容易になりました。
強刺激を行い、響きといわれる現象を起こすと、緊張を短時間に緩和させられるように思いますが、より安全に、誰にでも行いやすい治療法として、円皮鍼を用いた末梢への刺激をお勧めしています。
実際の臨床では、1時間ほどベッドで横になってもらうので、最初に末梢の刺激を行い、時間のかかる温灸などを施す間に、緊張が解けるようにしています。
緊張を緩和させながら、温熱刺激などで虚症状も緩和させると、心地よくなるらしく熟睡する患者さんが多いようです。
■ 参考文献
『ヒトの交感神経活動とその病態』 第45回日本自律神経学会総会 特別講演 間野忠明
『AMIによる神経と経絡の研究』 宗教心理出版 本山 博
『無血刺絡の臨床』 三和書籍 長田 裕
『誰にでもできる経筋治療』 医道の日本社 篠原 昭二
『良導絡 自律神経調整療法』 日本鍼灸良導絡医学会 学術部編
篠原先生の経筋治療と、ここでお話しした緊張の治療は、一致するものではないようです。
しかし、篠原先生のお話しが、大きなヒントになったので、参考図書としてご紹介しています(この件については、改めて書きたいと思っています)。
(2008年3月)
経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」
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