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実の鍼灸治療
実に対する鍼灸の治療法を説明しています。
実の概念
私たちは、3つの実の概念を使い分けています。
1つ目は緊張の実で、皮脂分泌の過剰から推測しています。
2つ目は成分の実で、真皮の間質液で電解質が過剰になっていることから推測しています。
3つ目は代謝の実で、真皮の間質液が(量的に)過剰になっていることから推測しています。
ここでは、特に二つ目の実、電解質の過剰について説明しています。
実のパターン(1)
典型的な例は、右図の左肝経のようなデータです。
電解質が過剰となっている場合(虚実2)、緊張も起こっていたり(虚実1)、治癒するために自然と代謝が亢進するなど(虚実3)、3種類の虚実の全てが実となりやすい傾向があります。
老廃物の蓄積などが理由と思われるのですが、電解質が過剰となり、ホメオスターシスが部分的に崩壊しているような箇所では、緊張もおきやすいし、水分の過剰=浮腫みも起きやすいようです。
このような例では、鍼灸の中でも鍼治療による寫法や、糸状灸による発汗などが効果的なようです。
発汗により、水分と電解質の両方を代謝できるからでしょう。
実のパターン(2)
ところが、右図の左脾経のように、虚実が入り組んだパターンも見られます。
電解質は過剰と考えられるものの(虚実2)、間質液は不足(虚実1)が推測できる場合です。
このような場合は、鍼灸の使い分けが難しいようです。
糸状灸による発汗では水分が失われてしまい、好ましくありません。
また、温灸による血行促進も、炎症箇所を温めるようなものなので、適さないようです。
古典で「虚火」と表現されるような状況で、治療にも注意が必要です。
実の鍼灸治療
実(成分の実)の鍼灸治療では、緊張の治療と同様に、鍼治療で良い効果を得ています。
また、チクンとした熱さで発汗を促す糸状灸が効果的なようです。
注意点として、上述のように、間質液の多寡(虚実3)の状況によって、糸状灸や温灸は逆効果となってしまうことが挙げられます。
水分が不足している状況で糸状灸を使うと、発汗で水分をさらに失わせてしまいます。
逆に水分が過剰な状態で温灸を用いると、抹消の血流を促進させ、さらに水分を過剰にするので、やけど(水ぶくれ)を生じさせやすいようです。
このように考えると、実の治療には鍼治療が無難だとと思えられます。
現実的に、 糸状灸は熱いために不快感が強く、患者さんが嫌がることが多いため、私自身は鍼治療を用いるようにしています。
しかし、糸状灸による発汗は効果が速やかなので、鍼灸の中でも効果を実感しやすく、経絡の虚実が正確に推測できれば活用の価値は高いと思います。
鍼灸治療は、まず灸が発展し(馬王堆文献)、大鍼での寫法(素問)、微鍼での調整(霊枢)が続いたという変遷があります。それぞれの鍼灸ごとに、得意とした治療対象があったと考えるべきでしょう。鍼灸ならどれを用いても良い、というわけではなく、反応(皮膚の状態)に合わせて、鍼灸を使い分ける必要があると思います。
実の鍼灸治療では、背部兪穴や経絡上の圧痛点で効果を得られる場合が多いようです。
経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」
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