測定と診察

経絡の測定 始まり

経絡の虚実を定量的に測定する方法として、昭和の中ごろに「知熱感度法」が考案されました。
赤羽幸兵衛先生(鍼灸師 1885〜1983)が考案した方法で、指先に線香をこすりつけ、熱いと感じるまでの回数で、感度の違いを数値化しました。国内外で高い評価を得ましたし、鍼灸学校で説明を受けた方も多いでしょう。
しかし、熱いと感じるまでの回数は恣意的(感情によって変わる)という問題点がありました。

交感神経の緊張

同じころ、経絡現象は交感神経の働きによる、という考えのもとに、交感神経-皮脂分泌反射のようすを測ろうとしたのが、良導絡でした。中谷義雄先生(医師 1923〜1978)の考案です。しかし、交感神経の緊張は感情の起伏の影響を受けてしまうため、これも信頼性に問題があると考えられました。
また、立毛筋緊張部位で交感神経緊張を示す数値が得られないなどの矛盾も指摘されました。

皮膚そのものを測定する

そこで、物性試験(物質的な性質を調べる試験)に用いられる、インパルス測定を用いる方法が考えられました。
感情や感覚神経の影響を受けない、およそ1万分の1秒という短い時間に起こる電流の変化を用いて、皮膚そのものを測定する方法です。知熱感度測定や良導絡が普及した昭和中ごろには難しい技術でしたが、昭和の後期からは比較的安価に実現できるようになりました。

皮膚の測定からわかること

表皮を剥離したり、電極の大きさを変えて、さまざまな実験をしたところ、インパルスによって、真皮のようす、それも、水分の様子が測定でき、しかも、経絡と説明される現象をよく説明できるだろうことがわかってきました。
知熱感度法と同様に、指先のツボ(井穴)を測定し、健常者と比較すると、データの変化が症状とよく一致しました。
さらに、良導絡の測定内容についても、新たな解釈の可能性が広がりました。


測定と診察

実際の診療では、井穴の測定結果は、参考情報の一つでしかありません。例えば、データで右手の肺経が虚していても、背部兪穴と、胸部募穴を触診して、反応がみられれば治療する、という使い方です。
しかし、データ上で強い虚実が見られる場合、たいていは経絡走行上や兪穴・募穴で反応がみられるので、効率的で信頼性が高い診察に、大いに役立つものになりました。
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