虚実による診断

側湾の分類

身体が大きく右に傾いた患者さんを例にします。
一般的には、左腰に異常があり、健側(右側)に偏っていると考えられます。
しかし実際には、腰部だけでなく、頚肩や脚など、さまざまな筋肉の緊張、無力化と関わるので、治療の優先順位を立てづらいことが多いでしょう。

虚実としてみれば

測定から、小腸経、膀胱経の井穴の異常がみられると、手足の経絡と背部兪穴が関連を持つという経験則にしたがって、仙腸関節部の小腸兪、膀胱兪を触診しています。
井穴に異常があると、多くは背部兪穴でも反応がみられます。水分が不足し代謝が停滞している場合=冷えや無力化と、イオンが過剰になり老廃物が蓄積している場合=硬結や圧痛の、それぞれの反応がみられます。

面白いのは、膀胱経に虚傾向がみられると、腎経にも虚傾向がみられることが多く、腎兪が冷えて無力化し、温灸をすえても熱がらない例がみられることです(腎兪のある腰椎2番は、側湾の変位が起こりやすいところです)。

このようにして分類していくと、仙腸関節だけに問題がある例と、側湾として腰部にも問題が現れる例があるようです。

診断の効率と精度

膀胱兪と腎兪の反応は、同側に出る場合と、反対側に出る場合があります。
ダブルメジャーと呼ばれる、胸椎と腰椎で反対側に側湾する場合と、腰椎のみの側湾では、負荷の違いから特徴も異なるなどの理由があるのでしょう。

実際のところ、背骨の歪み方は、明確に分類できるものでもありません。
先生方の中にも、解剖学的検査の困難さ(や限界)を感じている方がいらっしゃるでしょう。

こうしたときに、井穴での測定結果を、背部の触診と照らし合わせることで、良い成果を得ています。
異常個所の絞り込みが効率的で、治療方針も立てやすいと感じています。

治療の優先順位

どうして井穴と背部兪穴が関連を持つのかは、私にはわかりません。伝承された経験則として活用しているだけです。
しかし、伝統的な診察を測定技術で容易にすれば、効率よく治療方針を立てられる、という点では自信を持っています。

背部では他にも、肩甲間部や胸椎7・8番近辺で棘突起が左右にズレていたり、中背部で筋の盛り上がりが著名な左右差を示す場合など、いくつもの特徴が重なっている例が少なくありません。
このような場合に、皮膚の反応=虚実を数値化し、異常の強さを比較することは、治療の優先順位を決めるために大いに役立っています。
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