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治療法の解説
鍼灸治療の使い分け

治療法の解説には、いくつかの分類方法があると思います。
鍼か灸か、浅刺か深刺か、透熱灸か知熱灸か、といった、刺激方法(刺激の質)による分類方法もあるでしょうし、症状による分類方法もあるでしょう。
しかし、経絡の虚実を測ろうという試み=測定機器(AMICA)の開発を進めているので、測定結果を座標軸として、治療方法を分類してみたいと思います。
具体的には、緊張の有無と、右に示すような座標系とによって測定結果を分類し、それぞれに対する治療方法を説明したいと思います。
■ 緊張の治療
AMICAは、交感神経=皮脂腺反射(GSR:Galvanic Skin Response)と同様のデータも測定しています。
この情報は、一般的には良導絡の名前で浸透しています。
皮脂分泌反射が盛んな場合、末梢神経の流れに沿った、筋緊張と関わりが強いようです。
■ コリの治療
右上の図で、画面上部の邪実と書かれた赤いだ円の部分=電解質が過剰となっている場合の治療です。
経絡に沿った四肢の筋肉や、背部兪穴で硬結がみられることが多いようです。
■ 虚の治療
右上の図で、画面下部の電解質の不足となっている場合の治療です。
虚傾向が強く、強い刺激では逆効果な場合が多いようです。
■ 冷えの治療
右上の図で、画面左部の水分量の不足となっている場合の治療です。
代謝が停滞気味のため、経絡に沿って冷えを訴える場合が多く、温熱刺激が適しているようです。
■ 全身の治療
上記の四つの要素が、特定の経絡ではなく、全身的にバランスを崩している場合の治療です。
例えば、特定の経絡では異常がないけれど、全身的に下半身では水分量の不足がみられ、上半身では逆に水分量の過剰がみられるなど、冷えのぼせが考えられる場合などです。
この10年ほどの間に、鍼灸の治療機序を神経系(だけ)で説明されることが多くなり、痛むところ(だけ)に鍼を打つ=局所治療を行う先生が多くなりました(上の分類で言えば、緊張の治療やコリの治療を、局所で行うような場合です)。
これに対して、古典的な経絡治療を行っている先生は、体質分類に合わせて特定の選穴に弱刺激を行い、弱った経絡を補おうとします(上の分類で言えば、虚の治療や冷えの治療を中心的に行うよう場合です)。
それぞれの流派が、それぞれの正当性を主張し、議論をしても相容れない場合が少なくありません。
このため、鍼灸の初学者や、現代医学の医師たちは、それぞれの主張と相互否定を聞かされて混乱します。
ところが、実際に上記のような測定と分類を行い、どの傾向が強いかを検討すれば、それぞれの流派のどちらもが正しいことが分かります。
問題は、どの要素が最も強い傾向を示し、症状と直接的な関わりを持っているか、定量的に比較検討できないため、それぞれの治療方法を使い分けることができないことにあると思います。
別な言い方をすると、鍼灸の適応範囲は予想以上に広く、上に挙げたような各種の失調パターンに対して、それぞれに適した治療方法を内包しているようですが、どの治療方法を用いればよいかの判断材料を、多くの鍼灸師が持ち合わせていないため、自らが得意とする治療方法の一点張りに終わってしまうのです。
私たちはこの問題を解決するため、上記の情報群に対して、それぞれの傾向の強さを評価付けし、比較検討できるようにしています。
『臨床経験が20年以上はないと、この比較結果は理解できない。』
ユーザーの先生方には、こうした意見もあります。
というのも、長い臨床経験の中で、さまざまな症例を見聞し、複数の治療法を試行錯誤しながら使い分けた経験がないと、治療方法の使い分けがイメージできないだろう、ということでした。
経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」
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