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鍼灸治療
鍼と灸を臨床でどのように使い分けるか、具体例(測定データ)とともに説明しています。
鍼灸は使い分けられる?
鍼と灸の使い分けを、鍼灸学校ではあまり明確に説明してくれません。
使い分けのベースとなる虚実の判断について、明快なガイドラインを持っていないからです。
(教科書では、鍼はおもに実への寫に、灸はおもに虚への補に用いる、とだけ説明されています。)
もし…経絡の虚実について、明快なガイドラインがあったら、鍼灸治療はどのように変わるでしょうか?
このページでは、このサイトで用いている考え方(経絡の虚実)を、予備知識として説明しています。
各項については、緊張の治療、実の治療、虚の治療、冷えの治療、全身の治療のページで、具体的なデータとともに、詳しく説明しています。
古典的な虚実という表現は苦手…という方でも、「反応の種類」と置き換えていただければ、納得していただけると思います。
鍼灸の使い分け
右図は、経絡の虚実を推測した一例です。
実傾向は紫で、虚傾向は青で、 傾向の強さに合わせて、右下の図のように塗り分けて表示されます。
さらに、左右両虚など特定の条件がみられる場合は、赤や黄色の見出しが表示されます。
ここで示されている3種類の虚実のいずれにも、鍼灸で対応できると(経験から)考えています。
青で示された虚傾向の経絡には温灸を、紫で示された実傾向の経絡には鍼を施す、といった基本的な分類だけでも、鍼灸の使い分けの大きな改善となるでしょう。
鍼灸治療は、馬王堆医経(灸)・素問(大鍼)・霊枢(微鍼)・難経の、各時代の治療法を内包しています。
鍼灸治療は一つの現象だけを対象としたものではない、と考えたほうが良いでしょう。
効果的な鍼灸治療のためには、まず反応のようすを正確に理解・把握・分類するべきです。
(詳しくは、測定原理のページをご覧下さい。)
鍼灸の広がり
上の例では、肝経の右側で、強い実傾向(緊張傾向)が推測されます。
このような場合は、鍼灸の中でも鍼で、それも末梢への刺激で効果が得られています。
(効果を得られるまでの時間に差があるようですが、円皮鍼、皮内鍼、毫鍼の刺入のいずれでも、同様に効果が得られるようです。糸状灸が有効な場合もあります。)
このように片側が実となる場合は、運動器の異常が原因となる場合が多いようです。
また、上の例の脾経や肺経のように、強い虚傾向(虚や冷え)が推測される経絡では、鍼灸の中でも灸、それも、温灸による温め補う治療で、効果を得ています。
このように両側が虚となる場合は、体質(臓腑)の異常が原因となる場合が多いようです。
鍼灸が治療対象とする虚実=皮膚の反応は、このように多種の原因で、多種のパターンを持って現れるようです。
このように複数の虚実=さまざまな皮膚の反応が同時にみられる場合、鍼か灸のいずれかだけではなく、鍼と灸の両方を使い分けながら併用して治療するべきでしょう。
鍼灸治療は、本来なら正確な使い分けが必要です。
別な表現をすると、 鍼灸治療は「当て推量」で行うべきではありません。
鍼灸の真髄
鍼灸は、素人でもすぐに使用できます。
痛いところ、冷えるところに、市販の円皮鍼や温灸を用いることができます。
また一方では、経験と知識によって高い効果を得られるようになります。
敷居は低いけれど、奥行きは深い。
スポーツで言えばサッカーのようなものでしょうか。
しかし、鍼灸師を名乗り、鍼灸を生業とするなら、圧痛点や硬結に施術するだけ=素人と同じ治療のまま、というわけにはいかないでしょう。
一つ目の課題として、どこを補い、どこを寫すか、という、虚実の判定、治療法の使い分けができるべきでしょう。
二つ目の課題として、その虚実が、どのような原因で発生しているかを、把握できるべきでしょう。
上の例のように、経絡の虚実について、機器を用いて幅広く推測できれば、二つの課題への取り組みも容易になります。
鍼灸の実用性
臨床の現場では、治療の効果だけでなく、効率も考慮しなくてはいけません。
治療法があまりに単純では効果が得られないでしょうし、あまりに複雑では運用しきれないでしょう。
このサイトで紹介している鍼灸の治療法は、「(1)末梢(四肢)の反応点、(2)背部兪穴、(3)胸腹部募穴を用いる」という、基本的で明快な方針を持っています。
サイトによっては、たった一つのツボを用いればよい、この症状にはこのツボだけでよい、といった鍼灸の解説も見られます。
しかし、私自身の経験はもちろん、ユーザーの先生方のお話から、上に挙げた(1)から(3)の三種類のツボは、診察においても治療においても、考慮したほうが良いと考えています。
鍼灸で効果を挙げ、鍼灸の効率を上げるために、三種類のツボを用い、鍼と灸を使い分ける治療を、参考にしていただければ幸いです。
(緊張の治療、実の治療、虚の治療、冷えの治療、全身の治療のページで、具体的なデータとともに、詳しく説明しています。ぜひそちらもご覧ください。)
補足説明
最近では、鍼灸の治療機序が神経系(だけ)で説明されることが多くなりました。
lこの結果、痛むところ(だけ)に施術する=局所治療(だけ)を行う鍼灸師の先生が多くなりました。
異常個所の把握だけを見れば、現代医学的で厳密な診断に立脚しているかもしれませんが、「悪いところに刺せば治るだろう」という思考形態は、素人の鍼灸治療と同じ方向性なままです。
これに対して、「日本特有の経絡治療」を行っている鍼灸の先生方は、(脉診と五行説にこだわり)特定の選穴に弱刺激を行い、虚した経絡を補おうとします。
また、鍼と灸を使い分けず、鍼だけで刺激の強弱=補寫の差をつけようとする偏りがみられます。
それぞれの流派が、それぞれの正当性を主張し、議論をしても相容れない場合が少なくありません。
このため、鍼灸の初学者や、現代医学の医師たちは、それぞれの主張と相互否定を聞かされて混乱します。
実際の鍼灸治療には、上記のように幅広い適応範囲があり、また、鍼と灸を使い分けることでより高い効果を得られるでしょうから、このような対立は鍼灸師にとっても、また患者さんにとっても、無意味で不幸なことです。
それぞれの治療法だけでも効果を得られると思いますが、上のデータのように虚実のパターンを把握して、それぞれの鍼や灸を適切に使い分ける指標とすれば、鍼灸でより多くの効果が得られ、初学者の混乱も避けることができるでしょう。
経絡の虚実 測定と判定 鍼灸・漢方・東洋医学の「証判定」
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